不動産Q&A

1、土地区画整理事業中の土地を購入したいと思っているのですが、この場合に注意すべき点は?

1、土地区画整理事業中の土地を購入する予定とのことですので、現在その土地は仮換地が指定されている状況にあろうかと思います。
  この時に注意すべき点は、以下のとおりです。

(1) 従前地番の確認及び仮換地の数量等の確定       

 仮換地指定段階では、仮換地を売買した際の登記は従前の地番に行うこととなります。従前地番の所在地・形状・数量等は仮換地のものと大きく異なることが通常であり、混乱しやすいので注意が必要です。また、従前地番が複数筆ある際には登記漏れ等も考えられますので、これについても注意が必要です。現在自分が購入しようとしている土地(仮換地)の範囲がどこまでなのか、対応する従前地番はどれなのか、仮換地図・仮換地証明書等を突き合わせて確認することが重要です。

(2) 仮換地の土地利用上の制約について       

 土地区画整理事業地内においては、地区計画が定められていることが少なくありません。定められた地区計画によっては、建築可能な建物の用途・規模等が制約されることもあるので注意が必要です。また、土地区画整理事業地全体の計画をみて、購入予定地のみでなく、周辺地域がどのような地域へと誘導予定であるのかを確認することも重要です。隣接する地域が事業所系の用途へと誘導予定であったり、近くに商業施設が誘致予定であったり、当該地域が今後どのような地域へと発展する可能性があるのか、確認しておくとよいでしょう。

(3) 土地区画整理組合の経済状態の確認及び清算金または賦課金の帰属      

 バブル崩壊後の土地区画整理事業地は、地価の継続的な下落により当初予定の事業費が保留地の売却等ではまかないきれず、破綻状況にあるところも少なくありません。現在の土地区画整理組合等の懐事情を知ることはとても大切なことです。事業費の不足から再減歩が行われたり、賦課金が課されたりする可能性も否定できません。土地区画整理地内の土地を売買するにあたり、これらのリスクがどの程度あるのか、また取引価格にどのように反映させられるのか注意が必要です。中には、賦課金が生じた際は、従前の土地所有者が支払い義務を引き受ける等の特約を設定している事例もみられますので、これらのリスクをどう処理すべきか、事前の対策が必要です。また、清算金についても同様で、取引価格に清算金の額を反映させるように考慮しておくことが必要となります。

2、路線価が付されている土地の相続税を計算する場合、土地の評価は必ず路線価で行わなければなりませんか

2、相続税法第22条において土地等の財産評価は「時価」によるとされており、相続税路線価が付されている土地の「時価」は、原則として路線価方式により算定されるこ    とになります。

 但し、「時価」であることを立証できるものがあれば、路線価方式以外のものでも認められる可能性があり、不動産鑑定士の求めた「鑑定評価額」もその一つと言えます。
 路線価は公示価格の80%水準に設定されているので、路線価方式により計算した評価額は市場価格よりも安くなることが多く、一般的には納税者に有利になるように配慮されていますが、地積の広大(過小)地・無道路地・不整形地・がけ地などの個別性の強い土地の場合には、財産評価基本通達(路線価方式)で定められた補正率ではその土地の実態を十分に反映できず、実際の市場価値よりも高く評価されてしまうこともあります。
 もし「財産評価基本通達」により画一的に計算された土地の評価額が『高すぎる』とお考えの場合には、一度不動産鑑定士にご相談してみてはいかがでしょうか。鑑定評価により実態にあった市場価値を判定し、相続税の減額を図ることも可能かと思われます。そしてこれは「節税」というよりも、適正な評価額に基づいた「適正な納税」であるといえます。

3、隣接地が売買される時に、隣接地と自分の土地との境界が不明な事が分かりました。

 隣接地所有者は売買のため、測量をして境界を確定したいとのことですが、このような場合、自分も測量の費用を負担しなくてはならないのでしょうか?
自分の土地は売買の予定がないので、特に測量の必要性は感じていないのですが。

3、面的に広がる土地は、区画され地番を付され、一筆という単位で登記されています。境界とは、法的にはこの一筆ごとの境となる線のことで「筆界」とも呼ばれていま  す。筆界は、個々の土地を区画する公法上の区分線であり、当事者間で自由に決めることはできません。筆界は不動産登記手続きに基づく分筆登記、合筆登記(行政処分)により創設・変更されます(平成17年不動産登記法改正により筆界特定の制度が新設されています)が、筆界に争いがある場合、筆界の確定は究極的には境界確定訴訟により決せられます。 

 私的な所有権はこの各筆の上に成立しており、所有権の範囲は隣地所有者との協議で決めることができますが、通常は筆界と所有権の範囲は一致しています。不動産取引で一般的に言われている境界確定は、筆界を探しつつ所有権の範囲である境界線を決めて、登記上の整理を行うことを指しており、設問の境界確定はこの意味での境界確定ということになるでしょう。 

 境界確定は、当事者間で協議して現地境界線を確定し、境界標を設置し、測量して図面や協定書を作成するという流れになりますが、境界確定の協議の前段階で土地家屋調査士に依頼して事前に資料調査や測量により推定境界線を測り出してもらう場合もあります。
 測量費用の負担は、当事者間の合意により自由に負担割合を決めることができます。設問への回答としては、負担割合0という合意も可能です。

 なお、境界が確定している場合の境界標設置に伴う測量費用の負担について、民法第224条は「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。但し、測量の費用はその土地の広狭に応じて分担する。」と規定しています。

 この規定は、強行規定ではないので必ず従わなければならないものではありません。当事者間で話し合いを行い、個別の諸事情を考慮して決める方が合理的な場合が多いでしょう。

4、中古マンション購入のため手付金を支払い、売買契約を締結しましたが、契約時に初めて当該マンションが競売物件であったことを知らされました。

競落者による転売物件であるとは知らず、このような縁起の悪い物件は嫌なのでキャンセ ルしたいと申し出をしましたところ、仲介手数料全額を請求されました。
マンションの経歴について、契約時まで説明がなかったのは仲介業者の怠慢であったと思いますが、このような場合でも仲介手数料を全額支払わなくてはならないのでしょうか?

4、まず、宅地建物取引業法(以下「業法」と言う)第35条では、①契約が成立するまでの間に、②購入者に対し、③取引主任者をして、④取引主任者証を提示させた上で、⑤重要事項を記載した書面を交付して、説明させなければならない と定めています。これは、「顧客保護」と「取引の安全確保」のためです。重要事項の内容が購入者の意志決定に重大な影響を与えますので、「重要事項の説明」は契約締結前の出来るだけ早い時期にすることとなっています。

 今回のご質問では、購入物件が競落者による転売物件(中古マンション)であったとのことですが、競売物件であったということは「重要事項の説明」には該当しないため明確な業法違反とはなりません。また、競売物件であったということで、購入者が将来的に何らかの経済的な負担を受ける心配もありません。

 しかしながら、権利履歴は「取引条件の説明」ではありませんが、「物件についての説明」に該当しますので、物件の案内時とか比較的早い段階で説明可能であったのではないかと推察されます。そうすれば、お客様の購入意志決定に十分な時間がとれたと思いますので、契約締結時まで権利履歴の説明がなされなかったことは、仲介業者の対応が不適切であったと言わざるを得ません。もう一度、契約関係書類(「重要事項説明書」や「売買契約書」)等を見ていただいて、手付金の性格(「解約手付」なのか、それとも「違約手付」なのか)や契約の解除に関する事項について確認する必要があると思います。

 売買契約を解約した場合は、仲介手数料の支払いについては民事での問題となりますので、納得のいくサービスを受けられなかったという視点から支払う金額を交渉されるとよいと思いますが、一度行政や法律の専門家(弁護士)に相談されたらいかがでしょうか。不動産売買について、業法に関する事項は「千葉県 県土整備部 建設・不動産業課」、他の法律に関しては「千葉県弁護士会の無料相談会」などがあります。

5、親の代から借地をして住んでいますが、このたび地主から土地を○○○円で買い取って貰いたいとの申し出がありました。

できれば買い取りたいと思いますが、地主のいう価格が安いか、高いか見当がつきません。どのように対応すればよいか教えてください。

5、今回のような底地売買(借地権付土地)は、売主、買主が固定された相対の売買です。このような場合は売主、買主の個別的事情が反映されているため、折り合ったところが適正な価格というべきものと思われます。

 ご相談者の場合、地主さんから底地売却価格が出ているのですから、購入される意思があり、資金が許されるのであるならば、その価格で検討されたらよろしいかと思います。値引き交渉はされてもよいでしょうが、商談が決裂しない程度でないといけません。 
 借地権では、建物の建替えなど借地の使用収益等に関して、多くの場合地主の承諾が必要です。完全所有権であれば、何をするにも自分の判断だけで出来ますから、底地を購入できる時に購入されるのがよいと思います。

 参考までに個人的事情の入っていない価格を知りたいのでしたら、国税局の財産評価基準書「路線価図」を調べられたらよいでしょう。これには「借地権割合」(個別事情が反映していないその地域の一般的な借地権割合)が記載されておりますので、底地割合=(1-「借地権割合」)となります。また、付設されている路線価は「公示価格水準の80%程度・千円/㎡」ですので、割り戻した価格で検討してください。
 なお、更地の時価水準を知りたいならば、国土交通省から毎年発表される1月1日現在の「地価公示価格」及び各都道府県から毎年発表される7月1日現在の「地価調査価格」も参考にしてください。

6、兄弟3人で10年くらい前に親から相続した土地が大阪と神戸の2カ所にあり、現在駐車場として貸しています。

管理は大阪の不動産業者に任せています。
処分を考えていますが、兄弟3人とも関西方面に縁がなく、値段も皆目分からず、今後どのように進めて良いか分かりません。
何か参考になることがあれば教えてください。

6、 ・売却方針について      

 現在駐車場として貸しているとのことですので、まず現況の状態で売却するか、駐車場の契約を全て解除し完全な更地の状態で売却するかを決める必要があります。マンション・商業ビル等の高度利用が可能な地域、戸建分譲地の需要が多い地域等であれば、更地として売却した方が高値で売れる可能性が高いですが、駐車場の解約手続きが必要になります。一方、駐車場より有効な利用方法がない場合は、現況の状態で収益物件として売却した方が高値で売れる可能性が高く、手間もかかりません。

・売却を委託する不動産業者の選定について

 現在の管理業者が信頼でき、売買の実績も豊富であれば、当該業者に委託するのがベストです。特に月極駐車場等で契約者との解約手続きが必要な場合は、管理業者に一括して委託できれば手続きもスムーズに進められます。

 しかし、管理業者が売買の実績があまりない個人業者等の場合は、良い買い手が見つからない可能性もありますので、所在地域で実績のある大手業者等に依頼した方がよいと思います。広域的に営業拠点を有する業者であれば、大阪と神戸の物件を一括して委託することもできます。なお、全国にある宅建協会に相談すれば適切な業者を紹介してくれますし、都道府県の担当課で業者名簿・過去の実績等を閲覧することもできます。

 ・売却価格について     

 売却価格については委託業者の意見等を参考に決定しますが、客観的な価格水準が知りたい場合は、公的機関が公表している以下の資料が参考になります。

  1. 地価公示(公示価格)
    国土交通省が不動産鑑定士の調査等を基に、選定した公示地について毎年公表する価格で、国土交通省のホームページ等で閲覧できます。各地域の標準的な価格水準が把握できます。
  2. 地価調査(基準地の標準価格)      
    各都道府県が不動産鑑定士の調査等を基に、選定した基準地について毎年公表する価格です。国土交通省・各都道府県のホームページ等で閲覧できます。各地域の標準的な価格水準が把握できます。
  3. 路線価
    国税庁が相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用する標準的な価格です。各税務署、国税庁のホームページ等で閲覧できます。各地域の標準的な価格(評価額)が把握できますが、取引相場より低めに設定されています。
  4. 固定資産税評価額
    市区町村が固定資産の課税を行う場合に適用する標準的な価格です。各市区町村の税務課等で閲覧できます。各土地個別の価格(評価額)が把握できますが、取引相場より低めに設定されています。

 但し、上記価格は各土地の個別性を十分に反映した価格とはいえず、あくまでも目安です。駐車場等の大規模地は、買い手が限定されること、地域によってはマンション・商業ビル等の高度利用が可能なこと等から、上記価格とは異なる市場価値を有する場合もありますので、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼して適正な価格を査定することをお勧めします。

7、購入予定の土地が市街化調整区域にあります。注意すべき点は?

7、市街化調整区域とは、都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」として指定された区域で、原則として建築物の建築等ができない区域のため、購入予定の物件が将来建築や建替え等が可能かどうかが重要となります。

例外的に建替え等が許可される主なケースは、次のとおりです。

(1) 市街化調整区域の線引きの日(市街化調整区域となった日)以前から存する 建物の敷地

 建物床面積が従前の建物の1.5倍以下、敷地・用途を変更しないこと、建ぺい率・容積率等の規制に適合していること等が条件となります。

(2) 千葉県条例で指定する区域に存する土地

 市街化区域から1.1kmの範囲内で、40以上の建築物(違法建築物は除き、市街化調整区域内に20以上の建築物が必要。各建物敷地間の距離は55m以内)が連たんする地域に存すること等が条件となります。

 なお、農家住宅地等の場合は、特定の人(農業従事者)に対して許可された分家住宅であるケースも多く、その場合には、原則として建替えができないことになりますので、注意が必要です。

 上記のほかにも様々なケースがありますので、詳しくは管轄市町村の都市計画課等に相談して下さい。

8、金融機関から、未登記の物置があるので登記をするように言われました。なぜ登記が必要なのですか?

8、物置や車庫でも基礎で固定されたもの等は建物と認定され、原則として登記が必要となります。

 未登記のまま裁判所の競売になった場合、未登記建物は売却対象外となり、未登記建物の敷地部分には、土地利用権(法定地上権)が発生します。したがって、競売売却価格(土地価格)から土地利用権相当額が減額されて配当されることになり、担保割れとなった場合には金融機関の損失となります。そのため、金融機関は担保価値保全のために未登記建物を登記させる訳です。

 なお、簡易な建物の場合は登記が不要のケースもありますので、判断が難しい場合には土地家屋調査士等の専門家に相談することをお勧めします。

お問い合わせ
tel:043-222-7588